日本軍「慰安婦」問題に関する日韓外相会談に対する抗議声明
「わたしは改めて、太陽の下に行われる虐げのすべてを見た。見よ、虐げられる人の涙を。彼らを慰める者はない。見よ、虐げる者の手にある力を。彼らを慰める者はない」
(コヘレトの言葉4:1)
私たち全国教会女性連合会は、1908年に朝鮮人青年留学生らの集いを母体として設立された在日大韓基督教会に属する女性組織です。差別と抑圧、貧困と戦後の混乱の中にあっても、平和な世界と神に仕える教会の発展を願って励んできた在日コリアン一世のオモニたちの信仰を継承し活動しています。
そのような私たちは、2015年12月28日、日韓外相が共同会見を開いて行った日本軍「慰安婦」問題の「最終的・不可逆的解決」宣言に、強い怒りを禁じえません。以下に問題点を列挙します。
今回の合意で日本政府は日本軍「慰安婦」問題への軍の関与を認め、責任を痛感するとしましたが、「心からのお詫びと反省」と言いつつ、肝心の被害者との接触は一切ありませんでした。「お詫び」を韓国大統領に電話で伝え、一方的な「合意」内容を韓国外務省から被害者ハルモニに伝えたことは、ハルモニ自身が表現したように「被害者を二度殺す」血の通わない残酷な行為にほかなりません。
日本軍「慰安婦」被害者支援のために10億円規模の財団を韓国政府が設立し、その資金を日本政府が準備するとのことですが、国の責任を認めるのであれば、国家賠償をするべきです。被害者支援のための韓国側の財団に拠金することは、賠償をしたかのように見せかける巧妙なすり替えです。あくまでも国家責任と謝罪、それに応じた賠償を求めてきた被害者ハルモニたちの意志に沿うものではありません。
平和の碑(少女像)は国家が設置したものではなく、二度とこのようなことが起らないようにすることを記憶するために民間団体が造り設置したものです。そのため合意の内容とは何ら関係なく、日本政府が要求する問題でもなければ、韓国政府が応じる問題でもありません。
今回の「合意」が真の「反省とお詫び」が込められた内容であるのなら、この事実を教訓として歴史教科書に載せ、同じ過ちが繰り返されることのないよう歴史教育に尽力すべきです。また、負の遺産に学ぶことなく、歴史を否定するような政治家たちの暴言がなくなるよう具体的な措置をとるべきです。
以上の点で、今回の「合意」はとうてい容認することができません。被害者の祖国でこのような和解と真の解決にほど遠い「妥結」をしたことにも強く抗議します。
私たちは被害者の名誉と尊厳の回復と、日本軍「慰安婦」問題の真の解決がなされるまで、抗議の声を上げ、いやしと和解がもたらされることを祈り求めていくものであります。
2016年2月5日
在日大韓基督教会全国教会女性連合会
会長 金英淑
総務 朴栄子